人知れぬ静寂の滝へ
──坂出で出会う、心を整える旅。

坂出の山奥にひっそりと佇む、ふたつの滝。不思議な力と静けさに満ちた癒しの場所へ。
日々の喧騒から少しだけ離れて、自分を取り戻す週末を過ごしたい。
そんなあなたにおすすめしたいのが、香川県坂出市の山あいに静かに息づくふたつの滝です。
山の緑に包まれ、澄んだ空気と水音に癒されながら歩く時間。
そこには、ただ“美しい”だけではない、静かな力を感じる場所が待っています。
本州からも気軽にアクセスできる坂出市で、“心を整える旅”をしてみませんか?
INDEX
幻の滝に出会う幸運──「稚児ケ滝(ちごがたき)」
香川県最大級、落差およそ80メートル。
五色台の白峰山中腹から一気に流れ落ちる「稚児ケ滝」は、県内でも数少ない大規模な滝のひとつです。

けれどこの滝、いつでも見られるわけではありません。
普段は水量がごくわずかで、その存在を隠すように山に眠っています。
姿を現すのは、梅雨時や大雨の後のわずかなタイミングだけ。
だからこそ、稚児ケ滝は「幻の滝」と呼ばれ、自然愛好家や地元の人々にとって特別な存在となってきました。
滝が現れるとき、その姿は圧巻。
切り立った岩肌を一気に流れ落ちる水は、まるで天からの恵みのよう。
自然の力を感じずにはいられません。
そして、この滝にはもうひとつの魅力があります。
それは、神話のような伝説が今なお語り継がれていること。
かつてこの地に現れた“悪魚”を退治するため、日本武尊が兵士たちを率いて戦ったといいます。
しかし、戦いの後、毒気にあたって倒れてしまった兵士たち。
そこへ、雲に乗って現れた神童が瓶の水を与え、彼らを救いました。
その神童が飛び帰っていった山が「稚児ヶ嶽」と呼ばれ、そこからこの滝も「稚児ケ滝」と名づけられたのです。
歴史と神話が溶け合う、霊性を帯びた自然の舞台。
稚児ケ滝は、ただの景勝地ではなく、“物語を持つ滝”として、より深く心に残る存在です。
稚児ヶ滝
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住所
〒762-0016 坂出市青海町
GOOGLE MAPS
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アクセス
JR坂出駅より車で25分
※稚児ケ滝は、以下の2つのルートから眺めることができます。
1、県道180号(鴨川停車場五色台線)沿いから遠望
2、西行法師の道から白峯寺へ向かう遍路道の途中(遍路道を登る途中では、正面に切り立つ岩肌が見えます。) -
駐車場
現地には駐車場がございません。
※周辺道路への路上駐車はご遠慮 -
その他
雨天後や梅雨時期以外は、滝の水量が非常に少ない場合があります。
祈りと静寂に包まれる──「城山不動の滝(きやまふどうのたき)」
もうひとつ、静かに訪れてほしいのが、城山の八合目付近に佇む「不動の滝」。
落差約15メートル。派手さはないけれど、そこには確かに心を鎮める“力”があります。

かつてこの滝は、弘法大師が岩壁に刻んだとされる不動明王像とともに、修験者たちの修行の場でした。
滝の流れのそばに祀られた不動明王を前に、今もそっと手を合わせに来る人がいます。
その名の由来も、この不動明王にあります。
かつて修行の場であったこの地で、人々が不動明王に祈りを捧げていたことから、
この滝は「不動の滝」と呼ばれるようになりました。
周囲には讃岐特有の鉱石「サヌカイト」が露出する岩肌が広がり、太古の力を感じさせる風景が広がります。
森の静寂と滝音が響き合うこの場所は、まさに「静かなパワースポット」。


城山 不動の滝
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住所
〒762-0021 坂出市西庄町
GOOGLE MAPS
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アクセス
JR坂出駅より車で25分/徒歩60分
起点は「綾北展望所」駐車場(県道188号沿い)
駐車場向かいの案内板から登山道へ(片道約40分)
手書きの案内板や目印が点在する、静かな山道
登山道は整備されていないため、スニーカーや登山靴、手袋など装備が必要 -
駐車場
仮設の駐車場 5台
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ご注意
夏はマムシに注意、冬は凍結箇所あり
単独よりも、複数人でのハイキングがおすすめです
坂出の山で、心と自然にふれる時間を。
稚児ケ滝が「幻の絶景」なら、城山不動の滝は「静かな祈りの場」。
片方は圧倒的なスケールと出会いの奇跡、もう片方は、じんわりと心にしみこむような静けさ。
ふたつの滝をめぐる旅は、ただの観光ではありません。
自分のリズムを取り戻し、自然と、そして心と向き合う時間になるはずです。
登山初心者のハイカーさんも、
自然の中で癒されたい方も、
冒険してみたい方も──
次の週末は、坂出の山へ。
人知れぬ静寂の滝で、心を整える旅に出かけてみませんか。